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prologue
私と君は、似た者同士だと思っていた。
だけど違った。
君は私を置いていったんだね。
私を一人にして。
一人の寂しさを、君は知っているんじゃなかったの?違う?
どうしてだろう。
私が辛いとき、近くには、いつも誰もいないのだ。
5月頃にはなんとなく、私が体験しているものが、いじめっていう分類にはいるものだと感じ始めていた。
帰るときには傘が消え、教室にいればペンケースが消え。
泣かないっていうのは、自分の中で決めたルールだから、頑張って守っていた。
そんなとき、君に出逢った。
いつだったかな。
桜が少し残っていた時。教室の隅で座って本を読んでいた。
私がいじめられていることについて、君は知っていて。だから、その時に「話を聞く」と言ってくれて、私、とっても嬉しかったのに。
小学五年生の私に。世の中を甘く見ていた私に、君は真実を教えてくれた。
「いじめは、ある意味の偏見なんだ。この人はこうだ!と決めつけて、集団でその人を遠ざけ、地位を下げる。その被害者は大体、なにも悪くない人間なんだ。いじめをする人間が、恥知らずで、無知で。僕は同じ人間としてとても恥ずかしい」
君はそういった。僕だけでも味方になれれば、と。
その言葉に、どれほど安心したか。どれほど救われたか。
なのに。
「もうこの関係は終わりにしよう」
こんな事言われて。
……もう私、どうすればいいかわかんないよ。
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