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突然、思いついて実家に帰ろうと思った。
人がぎゅうぎゅうに詰め込まれて、車両の隙間から人が落ちるんじゃないかというぐらいに混みあった電車に揺られて久々に金沢に帰ってきた。
子どものときに行った店なんかはなくなり、別の町みたいだったが、ここが故郷には違いない。オレは金沢の地を踏んだ瞬間、本当に泣きそうになってしまった。我ながら情けない。
1時間待ったバスに揺られて実家へ帰る。母はオレを見るなり驚いた顔をして
「いきなり帰ってくるなんて! 事前に言ってくれれば用意もしとったのに」
そう言いながらも母からは笑みのこぼれていた。喜んでくれているなら嬉しい。
最後に帰省したのはいつだったのか、大人になってからもう随分帰ることができなかった。
しばらく会わない間に、母はなんだか少し小さくなったような気がした。
畑で収穫した野菜の籠はオレが持った。
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