第三話 神様の正体と予期せぬお願い

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第三話 神様の正体と予期せぬお願い

 「あんたって、本当によく食べるわよねぇ~」    「はひ」  向かいの席に座る如月さんがまじまじと私を見つめてくる。  如月さんの髪の毛はライトに照らされていつも以上に金色に光っていた。  今日は、今後のスケジュールの打ち合わせも兼ねて、創作和食料理屋さんに連れてきてもらっていた。  当たり前のように個室のお店を選んでくれるのがありがたい。  未公開情報もあるから個室でなくてはならないのだろうけど。  そのおかげで、人目を気にせず自分の好きなペースで思いきり食事を楽しめた。  「私は根っからの食道楽ですから!」  「うん。あんたそれ初めて会った15歳の時も全く同じこと言ってたわよ」  「はい。あの頃と全く同じ気持ちで生きています」  「色気ないわねぇ~。乃々花ってさぁ、顔もまぁまぁ可愛いし、せっかくすごい武器持ってるのにさぁ」  「すごい武器?」  如月さんはあからさまに私の胸元に視線を向けてくる。  まさか、この脂肪のこと?  確かに結構な重量があるから、反動をつけて体を振れば武器にならなくもない。  殺傷能力もないから罪にもならないだろう。  いざという時のために素振りの練習でもしておこうか。  でもクーパーじん帯が伸びて、びょーんとしたおっぱいになりそう……。  「あんたまたとんちんかんなこと考えてたでしょ?」  如月さんが呆れた目を向けてくる。  「いいえ。自衛のことです」  「もうっ、そんなことよりも! 今度のパーティーちゃんと出席できるんでしょうね?」  「あー、〇〇社の創立記念パーティーでしたよね」  「そうよっ! うちの会社の創業100周年をお祝いしたパーティー! とくにお世話になってるお偉い作家先生やクリエイターたちには是非出席してもらうようにって社長から釘刺されてんのよ」  「う~ん。でも私、場違いだと思いますよ」  デザートの黒ゴマ豆乳プリンを口に運びながら、気の乗らない返事をした。  「は? なにそれ嫌味?」  「へ?」  プリンを飲み込んでから、間抜けな声が出た。
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