第六話 初めての衝動

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 「とにかく、それは絶対にないです。むしろ嫌い寄りだと思います」  「ふーん、そうなの? まあ貧乳好きもいるからね」  「はい。そっちで間違いないです」  「じゃあ、おっぱいじゃないなら。超世話好きとか?」  「えっ?」  「だってさーあんたって色々手がかかるじゃない? 世間知らずだし、天然だし、頭ん中ファンタジーだし。お腹空くと何もできなくなるし、ぼけっとしてるからすぐ男に絡まれるし……そういうところが世話焼きたいタイプにはグサグサささるっていうか」  「あー……それは、だいぶ思い当たることがあります」  千紘さんと出会ってから、お世話しかされていない。  千紘さん、世話好きなのかな。  料理が好きな人だから、ごはんを食べさせるのは好きそうだけど……。  なんてことを考えていると、「で?」と如月さんが顔を近づけてくる。  「どこまでいってんの?」  「……はい?」  「ばかっ、野暮なこと言わせんじゃないわよ。セックスしたのかって聞いてんのよ」  「思いっきり言ってます」  「言わないとあんたがまた変な解釈するからでしょーが!」  如月さんの言う通り、一瞬、千紘さんとどこまで一緒に行ったのか思い返してしまったことは言わないでおく。  「あの、セックスって性行為ですよね?」  「相変わらず直球よね、あんたって。ま、そういうとこ嫌いじゃないけど」  「すみません。また勘違いする恐れがあるので」  「まーそうね。そう、その通り。性行為です」  私の精神年齢が幼いとはいえ性行為くらい知ってる。  赤ちゃんをつくる行為だ。  赤ちゃんはコウノトリが連れてくるのではなく男女の営みによって生まれることくらい、さすがの私も知っている。  当然未体験だけど、その仕組みだってちゃんと理解している。
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