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私が中学生の時、不登校になったこと。
それは、私にとってはなんてことない理由だった。
父親の再婚によって、新しく弟ができて、家庭の中に自分の居場所がなくなったと思い込んだみやびちゃんは絵に描いたようなぐれ方をした。
そんなみやびちゃんだったけど、学校だけは真面目に通っていた。
だけど、クラス全員がみやびちゃんを避けるようになった。
私だけは変わらず彼女と接していたけど、やがて担任の先生やクラスメイトにみやびちゃんと距離を置くように促されて、私は嫌になった。
みやびちゃんをのけ者にする教室にもクラスメイトにも、先生にも。
そしてみやびちゃんはとうとう学校に来なくなった。
みやびちゃんを追い出して安堵する人たち、私以外の全員が彼女を存在しないものとして扱う場所にいる必要などないと思った。
そうして中学二年生の春、私は学校に行くのを止めた。
だけど、私の登校拒否に気づいたみやびちゃんが泣きだしてしまったため、中学三年生からは彼女と二人で卒業するまで保健室登校をした。
あれから今も私に恩を感じてくれているのがひしひしと伝わるけど、私は私の心に従っただけで、みやびちゃんのためではない。
それにその結果、今の私があるのだから、みやびちゃんのおかげで自分の道が決まったと言っても過言ではないのだ。
「みやびちゃんも、遠慮しないでよ?」
《しないわよ》
「あと、患者さんのことばかりじゃなくて、自分の体も大切にしてね」
《……ん、ありがとう》
「うん。みやびちゃん、またね。おやすみ」
《うん。おやすみ》
電話を切っても、心の中でみやびちゃんを思った。
彼女の今が幸せなものでありますように、と。
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