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「んっ?」
私はびっくりしてプリンを噛まずに飲み込んでしまった。
喉にちょっぴり詰まって咳が出る。
「……おのれ椎名くん、私を殺す気か……」
「やられたらやり返すまでだ」
椎名くんは暗殺者のようにダークな笑みを浮かべた。
やられたらやり返すって……キスのこと?
思い出して、顔から火が出そうになる。
「それじゃ椎名くんがまた風邪ひいちゃうじゃん」
「その時はその時だ。運命だと思って受け入れるしかないな」
薬の意義とは?
飲ませるために風邪を引いてたら本末転倒だろ。
とりあえず、椎名くんが嫌がらずに薬を飲めるようになったことだけは一歩前進と考えていいのかもしれない。
私はプリンをひとくちずつゆっくり味わいながら、緩んでしまう頬を隠しきれずにいた。
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