ソファを買いに行こうと思った話

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 お盆休みを2日後に控えた朝のことだった。喉の痛みで目が覚めた。睡眠は十分取れているはずなのに、節々が痛い。  取り敢えず仕事に行った。行ってから早退しようと思った。先輩がよくそうしていた。だから大丈夫だと思った。「頼ってください」って、皆言っていた。  その日は、保護者面談が入っていた。それだけでも交代してもらいたかった。 「いや、ダメです」  食い気味の返事だった。 「12月から咲蔵先生一人になるので、3年生の面談は全員やってもらわないと」 「わっ……ああ……そ、そうですよね……」  私は本当にみっともなく狼狽した。  結局、その保護者に連絡して、日程をずらしてもらうことになった。ただこれで明日になったところで、明日までに体調が全快するとは到底思えなかった。  私が早退するまでに電話が繋がらず、その保護者への連絡は、先輩にお願いすることになった。どうか「お盆明けの日程でしか時間が取れない」と言ってくれ、とその保護者へ念じながら。そうすれば、最悪明日も早退はできる。  次の日もやはり、身体は鉛を引いているような状態だった。  出勤すると、シフト表には、その家庭の名前があった。  面談を終えた瞬間、節々の痛みが、忘れかけていた分、倍になって返ってきた。22時を過ぎてから始まった営業ミーティングの時にはもう、意識が朦朧としていて、ずきずき痛む脇腹を両腕で抱いていた。  目が回るほどに体調が悪くなるなんて、一体いつぶりだろうか。
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