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窓の外は曇天だった。踏切の音が聞こえる。電波塔の頭が、こちらを覗き込んでいる。
推しが病床で書いたという歌を思い出す。
(雲にぶら下がる電波塔……か。そんな素敵な表現が出てくる気力があったんだな。すげえな)
大病を患った推しに比べれば、私はなんとまあ大袈裟なのだが、この程度でへこたれる人間では、先は長くないだろうと漠然と思った。
これでやっと仕事を暫く休めるかもしれない。期待を胸に、上司に連絡する。
「感染日を0日として、5日間自宅療養してください! 6日目からは出勤して頂けます!」
となると、1、2、3……。
お盆休み明けぴったりに自宅療養期間が終わり、6日目からは元気に出勤するのであった。
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