半分ずつの愛 本文

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半分ずつの愛 本文

 ナナミは、惚れ薬を売っている老婆がいる、といううわさを耳にして、繁華街に足を運んだ。  うわさ通り、怪しげな老婆が、路上に御座(ござ)を広げて露店をやっていた。 「あの、すみません」  ナナミは勇気を出して、うつむいている老婆に声をかけた。  老婆が顔を上げると、首にいくつもぶら下がっている石のネックレスがジャラリと鳴った。ぎょろぎょろとした二つの目玉がナナミを見る。 「惚れ薬、ありますか」  ちょっと怖いなと思いつつ、ナナミが尋ねた。  老婆はナナミの心をのぞくようにじっと目を見据えたまま、 「何か、お困りかい?」 「まあ、ちょっと、旦那とうまくいっていなくて」 「ほう? それで?」  事情を話さないと売ってもらえないのだろうか。  正直、あまり話したくはないが、隠したところで状況が変わるわけでもないな、と思う。振り返って、そばに通行人がいないのを確かめてから話し始めた。
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