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離婚を提案されるのは避けられそうにない。そうであっても、惚れ薬が効いてくるまでの時間さえ稼げれば、離婚はやめてやり直そうという話になるはず。
「あのね、離婚については、もうちょっと考えない? 私たち、お互いに大嫌いというわけじゃないんだし。それに今日は結論を出すために誘ったわけじゃないの」
ナナミは結論を引き延ばそうと、早口でまくし立てた。お願いだから、早く惚れ薬が効いてほしい。
「ああ、うん、僕もすぐに離婚しようとは思わない。今日、ナナミと話して、まだお互いに気持ちがあるってわかったから」
トモヤはそこでシャツの胸のあたりを手でぎゅっと握った。
「だけど、さっき言ったように、自力で元どおりにするのは難しいだろ?」
「うん、そうだね」
ナナミはほっとしたが、同時に違和感もあった。トモヤが何を言いたいのか、今ひとつわからない。
なんだか嫌な予感がした。心なしか動悸が早く、胸が苦しいような気がするのは、惚れ薬が効いている証だろうか。
「何か……私に隠してる?」
ナナミは直感的に尋ねた。
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