半分ずつの愛 本文

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 トモヤも昔を思い出しているのか、赤ワインのグラスに添えた手を止めて遠い目をした。 「あの頃は、よかった。ナナミといれば、何をするのも楽しかった」 「私も。今だって、もちろん、トモヤのことが嫌いになったわけじゃない。ただ、なんだか……」  そこでナナミは口ごもった。  続きをトモヤが答えた。 「熱が……冷めた?」 「言い方は悪いけど、そうなのかもしれない」  ナナミがそう認めても、トモヤは怒りも呆れもしなかった。熱が冷めたのはお互い様だ。  トモヤは静かに慎重に言葉を選ぶように、話し始める。 「正直に言うよ。僕もナナミのことは嫌いじゃない。尊敬もしている。だけど、このまま一生、夫婦としてやっていくことが正しいのかどうか、できるのかどうか、僕にはわからない」 「たぶん、私も、そういう気持ち。同じだと思う」  想像していた最悪よりも、かなりマシだとナナミには思えた。トモヤの言葉が本音であれば、まだ二人は終わったわけではない。自信や覚悟が足りないだけだ。
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