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この流れだと、やっぱりトモヤは離婚を提案してくるかもしれない、とナナミは思った。それはたぶん、トモヤなりの優しさだ。
「ごめん、ちょっとトイレ」
ナナミは足元の鞄をすくい上げて、トイレに向かった。
手洗い台の前に立つ。鏡に映る自分の顔は、どこか自信がなさそうで、特別な美しさや魅力も感じられない。だがそれでも、見慣れたその顔には、愛着も親近感もあるし、見ているとなんだか安心する。慰めたり、応援したくなる。
自分に問う。
このまま離婚を切り出されてもいいのか?
私はどうしたいのか?
答えは決まっている。
二人はまだ完全には終わっていない。心がすっかり離れてしまったわけではない。だったら、またやり直せる。きっかけさえあれば。やり直せる可能性があるとわかった以上、賭けたいと思った。
ナナミは鞄から老婆にもらった茶色の小瓶を取り出し、なんのラベルも貼られていないつやつやしたガラスの表面を見つめた。瓶の中でかすかに液体が動くのが見える。
惚れ薬。
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