おくすり

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親には途中で体調が悪くなったので帰って来たと伝えたが、熱がある訳でもなく、どこにも異常がないのに休むなんてと小言を言われた。 今日は始業式だから問題ない。明日から行けばいいのだから今日はゆっくり休もう。 そしていつの間にか1カ月も経ってしまった。 いつも同じように電車に乗り込もうとすると戻ってしまう。あれ以来、眩暈はしないので少しホームで休んで改札の駅員さんに声を掛けて外に出る。 家に帰ると親に文句を言われるので市内の図書館で時間を潰すのがいつもの流れになっていた。 学校へは自分で体調不良のために休みたいと伝えている。担任からは何かあったのかと聞かれるが自分でも分からない。 今日も電車に乗れず見送っていると駅員さんがこちらに来た。 「これね、気持ちが楽になる薬なんだ。よかったら飲んでみない?」 何度か顔を合わせているが知らない人から渡された薬を飲むのは気が引けた。 もしこれが毒だったら 余計に体調が悪くなったら 違法な薬だったら
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