おくすり

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「はい、昨日は行けましたがまた今日はだめでした」 「そっか、じゃあまたお薬をあげるよ」 そう言って渡された薬を今日は躊躇いもなく飲んだ。 次の電車が来るまでの間に深呼吸を繰り返し、列の最後尾に並ぶ。 今度は昨日と同じように乗り込めた。 いつもより少しだけ遅い電車で登校し、教室の席に座る。提出物や今日の授業で必要なものを確認しているうちにホームルームが始まり、いつもの日常が過ぎ去り家に帰る。 それから毎日のように電車に乗れず駅員さんに薬を貰い学校に行くようになった。 この薬があれは電車に乗れる。そうすれば学校に行けるのだから誰にも文句は言われない。 そんな日々がどのくらい続いたのだろう。 「それでは隣の人とペアになってダンスの練習をして下さい」 体育の授業で背の順に並び2列になっているとそんな号令をかけられた。 隣にいる舟木さんはその言葉を聞くと不機嫌な表情になった。 先生と1番前の生徒がペアになって見本となり、それを真似る。 「ねえ、そこ違うんだけど。真面目にやってくれない?」 「ごめんなさい」 「ってか、気持ち悪いから本気で手を繋がないでよ。ベトベトするじゃん」
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