おくすり

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最寄りの駅に着き、改札の側にあの駅員さんがいるのが見えた。こちらに気がつくとゆっくりと近寄って来る。 「今日は帰りが早いんだね」 「体調不良を理由に早退してきました」 「そっか、薬の効果がいまいちだったかな」 「そんな事はなかったと思います。学校へは行けましたから」 「そっか。ただ、その表情をしているって事は夏休み前の事を思い出したのかな?」 「はい。クラス替えを機にイジメの標的になって、それでも必死に気にしないようにしていました」 クラス替えで一緒なった舟木さんは名前の順でも背の順でも私の1つ後ろだった。最初は挨拶や多少の会話はしていたが、その当時イジメの標的となっていた子と私が仲良く話をしていたのがきっかけだった。 「ねえ、あの子と仲良いの?」 「今年初めて同じクラスになったからまだあんまり話はしていないけど、さっきは同じアーティストが好きっていう話をしていたんだ」 「でもあの子性格悪いよ? 陰口言いまくってるみたいだから橋野さんも言われているかもよ?」 「そんな事ないと思うけどな。面白い子だよ?」 「へー、そうなんだ」
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