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魔王様、ご乱心です
「コンドル、私は眠りにつく。何かあれば起こせ」
そう言うとネージュは天蓋付きのベッドに潜り込んだ。コンドルは「御意」と返事をし、部屋を出ると廊下にて見張りを始めた。
***
翌朝、いつもとは違う城内の騒がしさに、何事かとネージュは寝ぼけた眼を擦りながら起き上がった。
それと同時に扉が素早くノックされ、慌てた様子のコンドルが入ってきた。
「ネージュ様! た、大変にございます!」
「何だ…コンドル、朝も早うからうるさいな…」
「魔王様が…」
魔王の名前を聞くやいなや、ネージュの目は大きく見開き、素早くコンドルを掴み問いただす。
「魔王様が何だ!」
「魔王様が…ご乱心でございます…」
「ど、どういう事だ? 何が起こった!?」
「参謀のチュード様の話によれば、勇者との戦について急に消極的になられたとかで…」
「何だと!? あの魔王様が…? 信じられん! すぐ魔王様のところへ参るぞ!」
ネージュとコンドルはまたドラゴンを呼び出すと、魔王城へと急ぎ向かった。
広間へと向かうも玉座に魔王の姿はなく、ネージュたちは王室へと急いだ。
王室の扉の前には、チュードが立っていた。
「チュード! 魔王様に何があった!?」
「王室の前で騒ぐな、ネージュ」
こんな事態にも彼は冷静な口ぶりであった。
詰め寄りたい気持ちをぐっと抑え、ネージュが「説明しろ」と言うと、チュードは王室の扉をノックし、ゆっくりと重い扉を開けた。
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