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夏のおわりは破滅のはじまり
そういうわけでゆうやくんの家に来た。もう昼過ぎだ。気ばかりあせる。
「こんにちわー」
インターホンに向かってふたりでそう言った。もちろんこれでもかってくらい作り笑顔。非常事態なのよ。お安いもんだわ。
ガチャリといきなり玄関のドアが開いた。なかからゆうやくんが出てきた。
「あれ、どうしたの?」
なにかゆうやくんは暗い顔をしていた。なにかあったのかしら?
「いえ、ちょっとお願いがあって…」
「ちょうどよかった。ぼくもきみたちに頼みがあって、いまきみたちの家へ行こうとしてたんだよ」
超嫌な予感するんですけど…。
「へ、へー。な、なんで?」
「いやね、宿題を見せてもらおうと思って」
「なんですって!あんた宿題やってないの?」
「まあそうなんだ。じつは塾の勉強で忙しくってさ、すっかり学校の宿題を忘れてしまって」
塾で忙しい割にはマメに告りまわっていたんじゃねえかてめえは!なに言ってんだ。
「それできみたちに宿題を見せてもらおうと思って…」
「おまえもかーい!」
さあそれからのわたしたちは、当然クラス全員のところをまわったのです。ですが結果は…。
あしたは破滅の日です。もうあきらめました。ですが、できることはしなくちゃと、ゆうやくんが言うので、しかたなくゆうやくんの家で宿題をしています。ああもう夕方です。夕焼けがきれいです。
まああしたはクラス全員、破滅の日がはじまるのです。だから少し、気が楽です。
…なわけないだろ!
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