おねがい

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おねがい

ていうことで同級生のあかねちゃんちに来た。もちろん宿題を見せてもらうためだ。これでしばらくはあいつにでかい顔をされてしまうが、背に腹は代えられない。 ――どちらさま? インターホンからあかねちゃんの声だ。モニターで見てんだろ?はやく開けろ。 「ももこです。あの、ちょっといい?」 玄関のドアが開いた。花のにおいがした。他人の家って自分ちとちがうにおいがする。うちはそうだな…芳香剤の匂いだな。まあそんなことはどうでもいい。 「何しに来たのよ」 いきなり喧嘩腰かーい!目つきこわーい。 「ちょ、ちょっとお願いがあって…」 あたしはこれでもかっていうくらい低姿勢でそう言った。嫌だけど。 「お願い?嫌よ」 即答かい!にべもないよ、それ。 「はなしくらい聞いてよ!友だちでしょ?」 「どうせ宿題見せろとか言うんでしょ?おことわりよ」 お見通しかーい!いやそれはないでしょ。 「そこをなんとか。恩に着るから!」 「嫌よ!」 「冷たいわね!なかよしだったでしょ?信じらんない」 「はあ?あんたさあ、いまのいまになってなんでそんなこと言ってるの?バカなの?いままでなにやってたの?信じらんない」 「だってえー…」 そりゃ遊びほうけてましたー。まいにちマンガばかり読んでましたー。プール行ってかき氷食って昼寝してテレビ見て寝ました。まいにちそのルーティンやってましたー。でもそれって小学生が神さまから与えられたご褒美でしょ?勉強一生懸命だからって、神さまがくれた安息の時間でしょ?
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