0人が本棚に入れています
本棚に追加
おねがい
ていうことで同級生のあかねちゃんちに来た。もちろん宿題を見せてもらうためだ。これでしばらくはあいつにでかい顔をされてしまうが、背に腹は代えられない。
――どちらさま?
インターホンからあかねちゃんの声だ。モニターで見てんだろ?はやく開けろ。
「ももこです。あの、ちょっといい?」
玄関のドアが開いた。花のにおいがした。他人の家って自分ちとちがうにおいがする。うちはそうだな…芳香剤の匂いだな。まあそんなことはどうでもいい。
「何しに来たのよ」
いきなり喧嘩腰かーい!目つきこわーい。
「ちょ、ちょっとお願いがあって…」
あたしはこれでもかっていうくらい低姿勢でそう言った。嫌だけど。
「お願い?嫌よ」
即答かい!にべもないよ、それ。
「はなしくらい聞いてよ!友だちでしょ?」
「どうせ宿題見せろとか言うんでしょ?おことわりよ」
お見通しかーい!いやそれはないでしょ。
「そこをなんとか。恩に着るから!」
「嫌よ!」
「冷たいわね!なかよしだったでしょ?信じらんない」
「はあ?あんたさあ、いまのいまになってなんでそんなこと言ってるの?バカなの?いままでなにやってたの?信じらんない」
「だってえー…」
そりゃ遊びほうけてましたー。まいにちマンガばかり読んでましたー。プール行ってかき氷食って昼寝してテレビ見て寝ました。まいにちそのルーティンやってましたー。でもそれって小学生が神さまから与えられたご褒美でしょ?勉強一生懸命だからって、神さまがくれた安息の時間でしょ?
最初のコメントを投稿しよう!