ヘリポートの殺人

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 そんな一姫にまだ食らいつく男がいた。木倉だった。 「剣山と平塚は大学の頃から一緒にやってきた仲間だ。早瀬さんと武藤君だって、僕と鎌ケ谷で面接して、採用を決めたんだ。私には到底彼らが鎌ケ谷を手にかけただなんて、到底思えない。考えることすら馬鹿馬鹿しいくらいだ」 「木倉さん……そうだ、俺たちの中に犯人がいるわけがない。警部さん、確かに理屈では俺たちは犯人候補なのかもしれない。でも、やっぱりこの中に鎌ケ谷さんを殺したやつがいるなんて、思えねえよ」  反論する木倉に、腕を振り回して便乗する剣山。彼らの目は真剣そのものだった。 「勘違いされては困ります。まだ皆さんの中の誰かが犯人だと決まったわけではありません。あくまで疑いの範疇です。なので皆さんにはこれから自分の疑いを晴らしていただきます」  少々油を注ぎ過ぎたか。一姫は表情を緩め、注釈を含めて話を本題に戻した。 「アリバイ確認ってことですか」 「そういうことになります」 「いいでしょう、それで疑いが晴れるなら。皆も大丈夫だな?」  木倉が訊ねると、ほかの四人も首肯した。  アリバイ確認は、一姫によって円滑に行われた。内容は、次の通りとなった。
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