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「弓塚さん。鎌ケ谷さんは破天荒な人物だったという話ですが、彼が殺害されるような心当たりはありますか?」
弓塚は「うーんそうだね……」と首を左右に捻る。それから少し待って、「あるといえばあるけど、どれも社長をやってれば該当しそうなことばかりだね。どちらかといえば、そこの木倉とか、あたしの方が心当たりあるかも」
含み笑いをする弓塚。そんな彼女を剣山が諌めた。
「笑えませんよ、弓塚さん……でも、鎌ケ谷さん少し完璧主義的だったというか、潔癖症っていうか、何事も出来が悪いと『美しくない!』ってつっけんどんになるところありましたよね。俺は愛の鞭だと思ってたけど、人によっては恨むやつもいたかもしれない」
「なるほど。そういった人物に心当たりは?」
「ないな、多すぎて。ねえ、早瀬さん、武藤君」
またしても突然話を振られて、慌てる早瀬と武藤はそれぞれ、やや早口気味に、意見を述べた。
「私も入ったばかりのころ、鎌ケ谷社長に仕事の効率を上げた方がいいって𠮟られたことありますけど、どこか温かみのある指導で、恨みとかそういう感情はわきませんでした」
「僕も実はプレゼン資料作成の際にご意見を頂きましたけど、そんな悪い印象はありませんでした。むしろ、嬉しかったくらいです。同期も皆そういってるので、社長に対して悪印象を持っている人は案外少ないんじゃないかな」
武藤が云い終わると、木倉が微笑みながら、
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