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それだけで元々胃の弱い伊織はうぇっとなりそうになる。
伊織は姉の隣に座ると、
「姉ちゃん、風呂上がりにポテチ食べるな。太るから」
と、忠告してやった。
やれやれ……と思う。まるで餌をむさぼり食らうゴリラだ……自分が同年代の女の子にあまり興味が湧かないのはこの姉がいるからだろう。こんなゴリラな姉がいる僕と結婚してくれる女の人っているのかなと不安ばかりが先立つ。つまり誰かと付き合ったとしてもその先がないなら付き合っても仕方ない……。伊織は少し思い詰めやすい性質だった。
「ご忠告どうも。でも、私の怒りが、ポテチを目一杯食べなきゃ収まらないって叫んでるのよ」
まだ口の中にポテトが残っているのか、陽毬が喋ると彼女の口からポテトのかけらがこちらに飛んできた。勘弁してくれ。
「何をそんなに怒ってるの?」
「伊織は恭子と宮下君、知ってるよね?」
伊織は「うん」と頷いた。
「恭子さんは姉ちゃんの親友だし、二人は校内一のおしどりカップルって有名だし」
と、言うと「それがね」とソファーに手をついた陽毬が身を乗り出した。
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