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伊織がその新展開を知ったのは、三日後の昼休みだった。彼が校舎の中庭にあるベンチで一人弁当を食べていると、姉が駆け寄ってきた。
「ニュースよ、ニュース! 恭子が宮下君とよりを戻したの」
「姉さん心配していたから、二人が仲直りしてよかったね」
「そうなの。でも、おかしいのよ」
「何が?」
「恭子、日吉君のことをどうして好きになったのか思い出せないって」
「……それはきっと風邪みたいなものだったからじゃない?」
「風邪?」
「そう、一過性のやつ。熱が冷めたらスッキリって感じの」
「なるほど、上手いこと言うのね。恭子の気持ちは一種の病気みたいなものだったと」
「うん、そんな感じかな」
「そんな感じかぁ……でも、やっぱり納得いかない」
姉を適当に言いくるめたと思っていた伊織は思わず、
「え!」
と、声を上げてしまった。
「だって。日吉君に心変わりした理由も、その後また宮下君に気持ちが戻った理由も……本人ですら分からないって言うのよ? 謎だわ」
「女心と秋の空っていうしー……」
これ、前にも言ったな、と背中に嫌な汗をかく。
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