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その日、北森伊織の通う市立西浜高校でビッグニュースになったのは、予想外のカップルが二組誕生したことだった。
一組は、一年生ながら校内一の美少女、吉野美優と同じく一年の斉藤一夫。
もう一組は、二年のお姉さん系美人、内田恭子と一年の日吉律。
このカップルの共通点といえば、彼女がどちらも人が羨むような美人であることと、相手の彼氏が二人とも、男の魅力はまだ未知数の、地味でもっさい……はっきり言ってしまえば非モテな一年男子だったことである。
*
伊織が風呂から出てリビングに行くと、先に風呂を済ませていた姉の陽毬が、ソファーに座ってテレビを見ていた。ソファーの前のローテーブルには、通常サイズの倍以上ある特盛ポテトチップスの袋が、ランチョンマットのように平らに広げられていた。その上に、油地獄を潜ってきた哀れな平たい芋たちが山盛りにされている。
伊織の履くスリッパの音に気づいてテレビを見ていた姉の陽毬がこちらを振り返った。
口の周りにはポテトの砕けたカスがくっつき、さっきまでポテトを摘んでいたであろう彼女の指は油でギトギトに光っている。
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