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「あたし海見に行きたいな〜。あ、今日って意味じゃなくてさ」
駅で待ち合わせて、すぐに入ったファストフード店。
「海? もう九月になるのに? クラゲ出るんだろ?」
実佑里の声に、テーブルを挟んで向かい側に座る駿がドリンクのカップを手に首を傾げている。
特に予定も決めずに会ったため、「今日はどうする?」と話していた最中だった。
「泳ぐ気はないから、クラゲは関係ないよ~。見るだけでいいの。まだまだ暑いし、やっぱ『夏』は海でしょ!?」
不思議そうな彼に、実佑里は明るく返す。
そう、夏なのだ。
少なくともあと数日を残す八月、二人が高校生になって初めての夏休みの間は。
立秋はとうに過ぎていたとしても、実佑里の中の「夏」は終わっていない。
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