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目を合わせようと、顔を近づけてくるので、蒼司も目を一瞬合わせる…が、なぜか、また一瞬で逸らしてしまう。
「!?」
蒼司は驚いた。
何に驚いたかというと、あまりにも可愛すぎたのだ。
助けてもらった時は、意識が朦朧であまり見ていなかったが、近くでみると、その子は普通の子と比べるとかなり…いや、ものすごく可愛い方であった。
髪は綺麗なロングの黒髪で、その瞳は透き通ったような美しい青。すらりとした理想の体型。それに胸も………。
蒼司は今まで、同い年の女の子と喋ったことなど人生でほぼ一度もなかった。だから、女性体制というものが全然ないのだ。
まだ付き合ったこともない蒼司にとって、この子はある意味、敵だった。
目もまともに合わせられない。
パニック状態で蒼司が固まっていると、少女は訳が分からず、蒼司の顔の近くでまた、天使のような発声で囁いてくる。
「どうしたの?」
更に心配してくるので、蒼司はどうにか彼女に落ちついてもらおうと、必死に誤魔化す。
――どうにかして、いい風に言うんだ! そう、爽やかな青年のように!
「い、いいい! いや? なんでも…ないよ?!」
彼女は一気に無表情になった。そして、蒼司は心の中で思う。
――失敗した~
蒼司のせいで、少女はもっと、もっと心配してくる始末。完全に失敗で終わったのだった。
――絶対キモい奴だって思われた~!
だが、その子は蒼司をそんな風に思ってはいなかった。むしろ、まだ話しかけてくる。
「もう大丈夫だから! もう、一人で悩まないで!!」
「………は?」
突然、彼女は強張った表情で、蒼司にそう訴えかけた。それで次に蒼司が座っているベッドの隣に腰かける。
「私が…私が蒼司君をなんとかしてあげるから!」
――え? なんで僕の名前を?
意味が分からず硬直していると、少女は蒼司に向かって。
「私! 私ね!!」
手を強く握りしめてくる。彼女の手はまるで冷たかった。
蒼司はその刹那、顔がものすごく赤くなり、我武者羅に混乱して叫んだ。
「はいいいぃ?!」
「――蒼司君が……好きだから。」
隙も与えないその一言。たった一言で、今の蒼司の心はハチャメチャに揺らいだ。
ついに、驚きすぎたあまり…
「Watts!?」
Englishになってしまった。
これが僕と彼女の初めての出会い。
ここから、全ての物語が始まるんだ――!
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