知らない町へ行こう

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知らない町へ行こう

 8月18日。いつもより早く家を出た。いつもより早く目が覚めたからだ。  中学時代の悪夢を、今でも夢に見る。悪夢にうなされ飛び起きる。グループの中で、私を下僕のように扱うリーダー格の女の子と、彼女と衝突して皆から無視される私。忘れるなとでも言うように、幾度となくフラッシュバックする記憶。 「なんでそう私をイラつかせるの? どんくさすぎんだよ。早く飲み物買ってこい」 「何楽しそうにしてるの? 他の子と遊ばないでよ。ムカつくから。人の気持ちもわからないんだね」  10年以上前の言葉が鮮やかによみがえる。トラウマになっているのだろう。彼女とは、ボスと下僕のような関係だった。彼女のことは嫌いだったが、どういうわけか私は卒業するまで彼女のことをずっと友達だと思っていた。歪な関係だったのだ。自分を押し殺し、彼女のご機嫌を取り、言うことを聞き、時折立ち回りを間違えて罵倒されたり無視されたりした。無視する時は他の友達も一緒だった。誰も彼女に逆らえなかったから。  ただの夢だ。もう全部終わったこと。  駅のホームで、私はそうやって言い聞かせる。今は25歳。家と職場を行き来するだけの人生。
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