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「そっか、そうだよね。たまたま、ここに来たのかと思って、色々考えちゃってた」
彼女はどこか納得したように、口角を上げた。
その時、僕を照らしていた太陽が完全に隠れ、闇が世界を覆う。
あの世が近い、本能的に悟った。
「知ってて、会いに来てくれたんだ。嬉しいよ」
「僕もキミに会えてよかった」
「わがままを言ってもいい?」
「うん」
短い間を置いて、彼女は言った。
「私と、ずっと一緒にいてほしいの」
「もちろん、そのつもりで来たんだ」
「ありがとう。じゃあ、私の手を握って」
言われた通り、彼女の手を握る。
柔らかい。この感触も昔と変わらないのだろうか。
ふと、ある言葉が脳裏に浮かび上がる。これがあの世への鍵か。
「ふふ、ごつごつしてる。今、君の心に浮かんだ言葉を口に出してほしいの。あの世に行きたいと強く願いながら」
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