やる気が出る最高のお薬

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残りわずかな夏休みを精いっぱい楽しむ子供たちの声が住宅地を駆け巡り、夏空へ舞い上がっていく。 その声を遮るかのようにそびえる高い壁と、鬱蒼とした樹木に囲まれた白い建物の一室で、薬師院博士は今日も研究に没頭していた。 多種多様な薬剤や溶液を調合して出来上がったのは、無色透明な液体。何度も実験し、幾多の成分調整を経て臨床試験を行い、今日ようやく完成したのだ。 薬師院博士は容器から液体を抽出し、小瓶に詰めた。空中に掲げると中の液体は照明の光を吸い、あるいは反射して複雑に煌めいた。 「できたぞ、新薬が……。世の人びとを明るい気持ちにする希望の薬だ」 薬師院博士は満足気に微笑んだ。
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