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それから何日か経って、薬師院博士のもとに黒沼親子がやってきた。以前と違い、二人とも夏空のように晴れやかな顔をしている。
「薬師院博士!ぼく何だかすごくやる気がでて、塾のテストで一番を取れたよ!」
見ている博士もつられて笑ってしまいそうなくらい、勉から目いっぱいの笑顔が溢れ出している。子どもはこうでなければと思いながら、薬師院博士は目を細めた。
「おお、そうか。それはよかった」
「先生がくれた薬のおかげだよ。本当にありがとう」
勉がお礼を言いながらお辞儀すると、傍らの黒沼が勉の頭を愛おしそうに撫でた。
「勉ががんばったからだぞ。お前は本当に頑張り屋だな」
勉がくすぐったそうにはにかむ。黒沼はこほんと咳払いをすると、「もちろん博士の薬のおかげでもあります。本当にありがとうございました」と言ってうやうやしく頭を下げた。
その隙に勉が博士のそばに寄ってきて耳打ちをしてくる。
「ね、パパちょっと変でしょ」
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