やる気が出る最高のお薬

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博士は微笑みながらその声を聞いている。 「薬師院博士の家に行った日から、パパがよく褒めてくれるんだ。今まで叱られてばかりだったのに。やる気が湧いてくるから嬉しいけどさ」 訝しがる勉の声に、薬師院博士はあの日の親子の様子を思い出しながらからからと笑い、勉に耳打ちし返した。 「そうだろう、そうだろう。私が薬を飲ませたのは君じゃない。実は君のパパだよ」 「え?どういうこと?」 「君のパパに渡した薬は、何の成分も入っていないダミーだ」 「俺、薬の力でやる気が出たんじゃないの?」 勉が目を丸くしていると、黒沼は客間を立ち去ろうとしているところだった。 「それでは失礼いたします、薬師院博士。何をしている、勉。行くぞ。これからご褒美のオモチャを買いに行くんだろう」 「うん、今行くよ……!」 「少しお待ちを。勉くんに勉強のアドバイスを授けよう」
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