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再び携帯を手に取り、今度は警察を呼ばねばと思い立つ。しかし男が目を剥きながら襲いかかって来たので私は男の突進を避けねばならず、通報することができなかった。
「うるぁああああ!」
全身で突っ込んでくる男を避けると、男はそのまま床に突っ伏した。床の上でもがいている男を見ながら、私は今度こそ通報しようとしたが、悪い夢でも見ているかのように、うまく操作ができない。そうこうしているうちに男が立ち上がり、ものすごい勢いでドロップキックをかましてきた。避けきれず、私は男の両足に突き飛ばされ、食器棚に激突した。ガラスの割れる音、男の喚き声が居間に響き渡る。
「俺だけでしょ? 殴ったり蹴ったりしていいのは、俺だけ、なあ!!」
私は男に蹴られた肩をさすり、割れたガラスに気をつけながら後ずさった。男は蹴りを放ったものの着地できず、再び床の上でもがいている。ふとその姿に、見覚えがあるような気がした。
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