服薬介助

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 床に横たわる男の顔は醜悪に、奇妙に、まるでデフォルメでもしたかのように歪んでいた。嫌悪感と不快感が湧き起こるのを抑えられない。まるでゴキブリである。ただいるだけで不快。もし見つけてしまったら私はためらわずに殺す。増えても困るし、害のある菌を媒介されては大変だ。  ふと男の表情が変わった。不快なことに変わりはないが、その表情に見覚えがある。 「お前ん家、父ちゃんいないんだろ?」  ハッとする。  今まで忘れていた小学校の頃の同級生の顔だった。名前は覚えていないが、その憎たらしい顔を私の脳は覚えていたらしい。何故こんなときに、と男を見下ろす。そして私は混乱する。  男の顔は、その同級生の顔だった。小学生の頃のままの幼い表情で、床に転がっていた。男はどう見ても成人しているし、先ほどまでこんなに童顔——いや、童顔という域を越えているが、こんな顔ではなかったはずだ。まるで男の首を、私の同級生、しかも小学生の時のままの首とすっかりすげ替えたみたいだった。
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