1.私は幽体離脱をして天国へ行く

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1.私は幽体離脱をして天国へ行く

 見渡す限りの青い空。咲き乱れる花々に大きな湖。そしてその奥にある山並み。色とりどりの蝶々や鳥たちが羽ばたき、その美しさは言葉では語り切れない。そう、ここは天国だ。  私はリリ、二十一歳でモデルをしている。何で急に天国に居るかって言うと、私には特殊能力があるからだ。  私の特殊能力、それは、自由自在に幽体離脱をして天国に来られるっていうもの。  モデルの仕事って、女同士の人間関係だとか、スタイルキープのための努力だとか、いつもどこでも美しくしていなければいけないとか、とにかくストレスが多くて。だから私は夜な夜な幽体離脱をしては天国に息抜きをしに来ているっていうワケ。 「あー、天国で食べるスウィーツに揚げ物は美味しいわぁ♡」  ここは想念の世界。食べたい料理は全て念じただけで出て来る。それに、実体が無い魂の状態だから、いくら食べても太る事は無い。 「こっちのパスタもステーキも美味しい♡ あ、たこ焼きと焼きそばも追加しちゃおうかな♬」  天国に来て、そこの住人と話をするってわけでもない。美しい景色を見て歩くでもない。とにかく私は食べて食べて食べまくる。 「あー、今日もお腹一杯。そろそろ体に帰りますか」  そうして、目が覚めるとそこは自分のベッドだ。 「んー! 目覚めは最高! 今日も頑張るわよー!」  そうして、私はまたへと向かう。
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