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けれど外にいる自衛隊員たちの姿は明らかに少なくなっているみたいだ。
どういうことだろう?
そういえば、私達はさっきから昇降口の近くで騒ぎを起こしているのに、誰も止めに来なかった。
それに気がついた私と圭太は目を見交わせて昇降口へと足をすすめる。
「誰もいない」
昇降口を見張っていたはずの自衛隊員の姿がどこにもなくなっていたのだ。
「今なら外に出られる!」
思わず声を大きくして呟くけれど、自衛隊員たちが急にいなくなった理由がわからないから、警戒を解くわけにもいかない。
「もう、諦めたのかも知れないな。街中で感染者が出て、建物を封鎖する意味を失ったのかも知れない」
「だとすれば、外へ出ても攻撃されないよね?」
自衛隊員の数は減っているものの、完全に撤退したわけじゃない。
姿を見られて撃ち殺されてしまう可能性がゼロになったわけじゃない。
ついさっきまで死んでもいいと思っていたのに、今は圭太と共に生きていたいと願っている自分がいる。
「わからない。とにかく、行ってみよう」
圭太と私はそれぞれバッドを握りしめて、昇降口ヘとあるき出したのだった。
☆☆☆
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