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圭太は頭をかきながら首をかしげる。
私は呆れて息を吐き出した。
これほど緊張感のない受験生はあまり見かけない。
大学進学も、父親と同じ会社への就職もなんとかなるだろうとゆるく構えているのが丸わかりだ。
「そんなんで受験生なの?」
「俺、勉強はできるから」
成績のいい圭太は余裕の表情だ。
そんなことを言って遊んでばかりいると、いつか足元を救われやしないかと、心配だ。
「ふたりとも朝からイチャイチャしてさぁ、私をのけものにしないでよね」
見るとユカリが頬を膨らませている。
「イチャイチャなんて、してないよ」
慌てて否定してもユカリの不機嫌は治らない。
「いいよねぇ。恋人がいれば受験だって就職だって怖くないって感じだもんねぇ」
「そんなの関係ないよ。私と圭太は受験のライバルになるんだから」
私と圭太は同じ大学へ進みたいと考えている。
付き合っている人と離れたくないとか、そういう理由ではなくて、偶然進みたい道が同じだっただけだ。
「私も誰かと一緒に大学目指したりしたいのにさぁ」
「ユカリって受験組みだっけ?」
「いや、違うけど」
「違うんじゃん」
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