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陽も俺の目をじっと見つめている。
「あの、俺実は…」
心臓がドクドクとすごい速さで脈打っている。
この先を言ったら、もう陽のそばにいられなくなるかもしれない。
でも、もしそうなったとしても、もう陽の隣にいることを諦めないと決めたんだ。
ごくりと唾を飲み込んだ。
「俺オメガなんだけど子供が出来ない体なんだ」
「え…?」
陽が言葉を詰まらせているのがわかった。
「今まで黙っててごめん。このことがあったから陽に番になろうって言われた時にすぐに返事が出来なくて…」
言え。言え。最後まで。
もう決めただろう。
ぎゅっと唇を噛み締める。
「もし陽がこんなオメガ、嫌だって思っても…
俺の番は陽じゃなきゃダメなんだ。
俺、これから勉強とか他にもいろんなこともっともっと頑張るから、陽の隣にいても恥ずかしくないように頑張るから、認めてもらえるまで何度でも何度でもそばにいたいって伝えに来るから…」
一度下を向いて小さく深呼吸した。
「だから俺の番になって」
やっと、やっと言えた。
「陽が好き。大好き。陽のこと誰にもとられたくない」
途中、緊張して声が震えたけど
全部、全部言い切った。
隠しごとや嘘はもう何もない。
陽は真剣な顔でずっと俺を見つめている。
全て言えた安心からか、まだ返事ももらっていないのに急にとてつもない恥ずかしさが込み上げてきて思わず俯いた。
「…これが俺の気持ち…です」
ぎゅっと目をつむった。
何と言われるだろう。
陽はどう思っているのだろう。
まだ心臓はすごい速さで脈打っている。
言い終わってからまだ数秒しか経っていないのに陽が言葉を発するまでの時間がとてつもなく長く感じた。
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