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プロローグ
物心がついた頃からいつも俺たちは一緒だった。
嬉しいとき、楽しいとき、悔しいとき、悲しいとき、どんな時もいつも隣には陽がいてくれた。
五歳の時に俺は陽の隣の家に引越してきた。
色白で真っ黒な髪の自分とは対照的に陽はうっすらと日に焼けた肌に薄茶色の髪がよく似合っていて眩しかった。
人見知りで泣き虫だった俺に陽は友達になろうと言ってくれた。
晴れの日は日が暮れるまで外で遊んで
雨の日はお互いの家でゲームをして、たわいのない話をして笑った。
陽と一緒だと時間が過ぎるのがあっという間だった。「バイバイ」と別れてもまたすぐに会いたくなった。
騒ぎすぎてしょっちゅうお互いの両親に怒られた。
でも陽と一緒ならいくら怒られても平気だった。
陽が何か始めれば自分も続き、陽が好きなものは自分もすぐに好きになった。
今まで暗かった世界が陽と一緒にいると明るくなる気がした。
津崎 陽と木崎 悠。
苗字も名前も一文字違いの俺たちは同い年で背格好もほとんど同じで、まるで本当の兄弟のように育った。
幼稚園から小学校、中学までずっとこの関係は変わることはなかったし、これからも変わらないと信じていた。
ずっと一緒ににいられると思っていた。
でも15歳の性判別で告げられたのは陽はアルファ、俺はオメガだった。
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