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クラスで10位以内に入っていたのは自分と陽の2人だけだったためか教室に戻るとクラスメイトから次々と声を掛けられた。
「木崎ってあんなに頭良かったんだな!今度勉強教えてよー」
「う、うん…」
「津崎はさ、さすがアルファって感じだなー」
「アルファとか関係なく努力した結果だから。
お前らもちゃんと勉強しろ」
しっしと陽が周りを取り囲む生徒を追い払う。
「こういう時だけアルファって言ってくるなよな…」
陽は明らかに不機嫌そうだった。
もともと陽はアルファ、ベータ、オメガと第二の性で括られることを嫌っていた。アルファの特進クラスに属さないのはそういった理由もあるのだろう。
自分の結果は何より嬉しい。
こうやって一つずついろんなことに自信をつけていけば陽に本当のことを打ち明けられる気がした。
そして一位の篠原 真紘のことがどうしても気になっていた。
この学校にももちろんオメガの生徒は存在するが、皆どこかオメガの自分を恥じているのか周りから一歩引いた控えめな印象の者が多い。
もちろん自分のようにオメガ性を隠してベータとして振る舞っている者もいるだろう。
とにかくあの篠原 真紘からは卑屈な雰囲気は一切感じ取れなかった。
あの凜とした立ち振る舞いからは何か一本筋のようなものが通っていて、他者を寄せつけない決意のようなものを感じた。
同じオメガでもこうも違うのか。
どうしたらあんな風になれるのだろう。
とにかく一度話がしてみたいと思った。
「ねえ陽、篠原くんて知ってる?」
耐えきれず休み時間に陽に尋ねてみた。
「ああ、一位だった奴だろ?あいつ確か一年の時から上位者の常連だよ。一位になったのは今回が初めてだと思うけど」
「そう、なんだ」
今までテストの順位というものに、あまり固執してこなかったので全く知らなかった。
「せっかくいい成績だったのに何となく上の空だったのはそのせい?悠が他人に興味もつなんて珍しいな」
陽の言う通りだ。
小さい頃から俺の世界は陽中心でまわっている。クラスメイトとも話はするけれど、陽以外取り立てて仲の良い友人はいない。
「うん。同じオメガみたいだったからちょっと気になって」
「俺も話したことはないからなー。どんな奴かは知らないかな」
「そっか」
あの強さはどこからくるのだろう。
教えて欲しい。
話せば自分も変われるんじゃないか、そんな気がした。
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