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「え…?」
なんでここで陽の名前が出てくるのだろう?
陽は知らないと言っていたし嘘をついているとは思えない。
ずっと俺たちは認識されていたってことなのか…?
何か敵意のようなものも感じるしどう答えればいいのだろう。
「よ、陽とは幼馴染で小さい頃からずっと一緒で…」
「あー幼馴染だったんだね。じゃあ第二の性がわかる前から二人は一緒にいるってことだよね?」
「う、うん。そうだよ」
心なしか真紘の雰囲気が和らいだ気がする。
「なーんだ。僕てっきりベータの君がアルファに媚びでも売ってるのかと思ってたよ」
話がよくみえない。
俺が首を傾げると真紘は今日一番の笑顔でこう言った。
「僕ね、地球上に存在するアルファっていう生物が反吐が出るほど大っ嫌いなの」
言ってることと可愛らしい笑顔が全く釣り合っていない。
「だからアルファの周りに群がってるベータやオメガも大嫌いなんだけど、木崎くんはそうじゃないんでしょ?」
「うん。アルファとか関係なく俺が陽のそばにいたいから一緒にいるよ」
この前、本人に嫌味な言い方はしてしまったけど、アルファだから陽のそばにいるんしゃない。それは自信をもって言えることだ。
「ごめんね、さっきは怖がらせちゃって。なるべく接触しないようにこの学校にいるアルファの顔と名前は全員頭に入ってるんだ」
「へえ…。え?全員?」
なるほど、だから陽の名前も知っていたのか。
しかしこの学校だけでも各学年にアルファの特進クラスが一つある。それに加えて陽のように一般クラスにいるアルファも含めると人数は100は超えてるはずだ。
さすが学年一位の頭は本物みたいだ。
真紘から感じる強さはこのアルファへの憎しみのようなものからきているのだろう。
それにしてもここまでアルファのことを嫌っているのは何か過去にあったのだろうか。
「だからアルファ以外の人たちとは普通に仲良くしてるから安心してね」
言葉の通りもう真紘の笑顔からは敵意は感じられなかった。
「話がだいぶ脱線しちゃったね。さっそく始めよう」
「うん。そうだね」
俺たちはようやく本題に取り掛かった。
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