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久しぶりに朝から肩で息をしていた。
昨日は自分で思っていたよりも疲れていたらしく、珍しく寝坊してしまい学校に着くのがギリギリになってしまった。
「あ、悠やっと来たな。おはよ」
陽はもう教室にいていつもと変わらず優しい笑顔で迎えてくれた。
「おはよう、寝坊しちゃって。陽あのー」
息を整えながらそこまで話すと教室のドアから突然名前を呼ばれた。
「悠くん、いますかー?」
見ると真紘がキョロキョロと教室の中を見渡しながらドアの前に立っている。
「ま、真紘くん?」
クラスメイトが一斉に自分を見る。みなの視線を集めてしまって恥ずかしい。思わず下を向いた。
「あれって確か1組の篠原だよな?」
「木崎って仲良かったっけか?」
クラスメイトのざわめきの中を通り抜け真紘の前に立った。
「真紘くん、どうしたの?」
「今日も放課後打合せあるって聞いた?」
「いや、聞いてないよ。急に決まったの?」
「うん、そうみたい。でも今日は用事があって僕出れなくて。その代わりに仮だけどパンフレットの下書き作ってみたから、悠くんに目を通してもらおうと思って持って来たんだ」
真紘が原稿を差し出した。
中をパラパラとめくると表紙だけでも数パターン用意されており、ところどころに吹き出しで書き込みがある。
「すごい。これをあの後一人でやったの?」
「うん。昨日悠くんと話して楽しかったし、忘れないうちにまとめておこうかなと思って」
昨日二人で話し合ったことが綺麗にまとまっている。短時間でここまで仕上げてくるなんて本当にすごい。
感心しながら読んでいると真紘が時計を見て言った。
「あっ、もう授業始まるね。じゃあまた」
「うん。ありがとう」
真紘は手を振りながら隣のクラスへと戻って行った。
それとほぼ同時に始業のチャイムが鳴り、結局陽と話せないまま席に着いた。
それからその日はなかなかタイミングが合わず、休み時間になると陽のそばに他の友人が来たり、異動教室が重なったりして陽とゆっくり話せないまま放課後になっていた。
今日の実行委員の打ち合わせは庶務事項の追加連絡だけで終わり早々と解散となった。
急な召集で参加人数も少なかったこともあり、みな足早に教室を出て行く。
真紘からもらった原稿を一度取り出したが、家でゆっくり見ようと鞄に戻した。
(陽、まだ残ってるかな?)
スマホを取り出し連絡を取ろうとすると教室のドアが開いた。
誰かが立っているが夕陽が逆光になってよく顔が見えない。
「打ち合わせ終わった?」
そこには陽が立っていた。
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