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(え…陽が嫉妬?)
自分が嫉妬するならまだしも、嫉妬される側になるなんて思ってもみなかった。
(それって真紘くんに嫉妬したってことだよね…?)
昨日から何となく感じていた違和感の原因はこれだったのか。
「えーーーー」
驚きと嬉しさといま陽にされたことへの恥ずかしさで情けない声が出た。
緊張していたのか体の力が抜けていく。
「何、その反応?」
陽が俺を見てむくれている。
その姿も何だか可愛く思えて顔がにやけてしまう。
腕を見ると陽がつけた赤い印がいくつもついている。
頼り甲斐があって嫉妬なんてしなさそうな陽が嫉妬してキスマークをつけてきたなんてー
じわじわと嬉しさが込み上げて顔のにやけが止まらない。
「ふふふ…」
「悠バカにしてるでしょ」
陽はとうとう机に突っ伏してしまった。
「陽、怒った?」
肩をポンポンと叩いても顔を上げそうにない。
拗ねてる姿さえ愛おしく思えてきた。
「どうしたら許してくれる?」
「文化祭…」
「ん?」
「文化祭の当日は一緒にまわれるの?」
「当日はそこまでやることないって言ってたよ。文化祭までは忙しいけど当日はなるべく陽といる時間作るようにするから、そしたら許してくれる?」
「うん、それで許す」
ようやく陽は顔を上げた。
少しまだ不服そうだけれど陽はいつもの雰囲気に戻っていた。
そういえば子供の頃も俺が他の子と話したりすると急に陽が不機嫌になってどうしたらいいかわからず困った記憶がある。
(じゃああの頃から嫉妬してたってこと?)
思い出したらまた笑いが込み上げてきた。
口を手で抑えて震えながら笑いを堪えていると陽がまた不機嫌そうな声を上げた。
「やっぱりまだバカにしてるじゃん…」
でも陽の顔はもう怒ってはいなかった。
ねえ、陽
俺自惚れてもいいのかな?
夕陽が差し込むオレンジ色の教室で何だかおかしくて二人で笑った。
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