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わたあめ、水風船、金魚すくい。 神社の境内には複数の露店が並び、その上には赤と白の提灯が夜空にぼんやりと浮かぶ。 見慣れた風景がどこか幻想的に映る祭りの夜は昔から好きだった。 面をつけた浴衣姿の子供たちが駆けていく。 まるで昔の陽と自分のようで懐かしくなった。 隣を歩く陽の手は既にりんご飴と焼きそばで塞がっていた。 「あっ!かき氷食べてなかった」 「もうどっちか食べ終わってからにしなよ」 「そうだな」 少し照れたように言うと陽はまたりんご飴を美味しそうにかじった。 俺がオメガだとわかっても陽は何も変わらなかった。いつも通り接してくれている。 でもただでさえ卑しい存在なのに欠陥品だとわかったらー それでも陽は隣にいてくれるだろうか。 離れていってしまうのではないか。 そう思うとなかなか言い出せなかった。 「ほら、悠も食えよ」 陽が突然食べかけのりんご飴を目の前に差し出す。 「さっきから全然食べてないだろ。もしかしてまだ具合悪い?」 「いっいや、そんなことない。ありがと」 俺は俯きながら受け取った。 以前まではこんなこと何も感じなかったのにあんなキスをした後だからか陽がかじった後が妙に艶かしく見えてしまって恥ずかしかった。
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