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02番
始終不愉快だった診察を終え、私は顔いっぱいに不満気な表情を貼りつけて院内を移動した。
外来患者が行き来する施設は、暖色で柔らかいカスタードクリーム色を基調にしているのか、寝ぼけたようにしているのは精神を落ち着かせるためもあるのだろう。
それなのに私の気分はささくれたままだ。
ここは公立で地域の医療を総合的に診ている病院であり、年中通院者で溢れ、どの科も診察を待つ人々が絶えない。
眼に入るもの全てをけなしながら、私は精算所に受け取った書類を渡し番号札を受け取った。
こちらも大事な時間を工面して来ているんだ、もっと早くしたらどうなんだ。
顔には出ていたかもしれないが、言葉にはせず不機嫌を飲み込んだ。
待合室フロアの長椅子に老人らと並んで座り、文庫本の続きに没頭する。
数回、微かなチャイム音とともに、電光掲示板に順番待ちの呼出し番号が入れ替わった。
音が耳に届く度に、自分の番号が無いのを確かめ文章に戻るが、気がつくと自分の番号札の数字が現れていた。
事務員から請求書を受取り、支払い窓口を回って清算をした。
そして手元に残った処方箋を見ながら少し考えた。
院外処方も可能らしいが、わざわざそちらを回るのも面倒だ。
院内の調剤薬局で受け取ろうと、その区画に向かった。
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