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夏中愚作 (夏の終わりに)
唐(807年) 柳宗元
「夏中偶作」
南洲の溽暑 酔いて酒の如し
几に依りて熟眠 北牖を開く
日午 独り覚めて 余生無し
山童 竹を隔てて 茶臼を敲く
「けだるい夏の昼、たまたま詩ができた」
南の国の蒸し暑さは酒に酔ったようだ
北側の窓を開け放し、ひじかけにもたれてぐっすり眠る
昼ごろ独り目覚めるとほかに音はしない
ただ、竹林の向こうで童が、茶の葉を臼でつく音がトントンと物憂げに聞こえてくる
◇ ◇ ◇
日本 (2023年) 詠み人知らず
「口語夏中愚作」
日本の厳暑 濡れて蒸風呂の如し
「最近の日本の暑さったらないよね。もう温帯どころか、亜熱帯。いや、むしろ熱帯。体中暑くて、熱中症にならないようにするのが難しいよ〜」
冷房を頼りて熟眠 家の全窓を閉める
「エアコン、つけようよ。エアコン。はいはい、窓を閉めて、ゴロゴロしよう。こう暑いと食欲も出ないし。昼寝だ、昼寝!」
夕刻目覚めて 窓解放
「あー、いいね。防音サッシだし、何の音も聞こえない、ホント、よく寝た。もう、日が暮れちゃってるよ。そろそろ、窓開けてみよっか」
庭で虫の音 秋の初物晩ご飯
「あ、庭でコオロギ鳴いてるよ。リリリリって、なんだか、物悲しくなる声だよね。そう言えば、あぁ、お腹すいた。晩ゴハンは、サンマの塩焼きに栗ご飯、きのこ汁を山盛りで。食後のデザートは、葡萄にしよう」
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