ルルとムムの夏のお友達

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「貴方がその人達のお子さんなら魔法のステッキって、貴方みたいにキラキラ輝いてる棒みたいなやつで先っぽに星の形をした石がくっ付いてるやつの事かしら?」 「そう、それ!それだよ!」ララは大きく頷き返しました。 「はくちょうママさん、ララのステッキがどこにあるか知ってる?ララったら夜空で踊ってたらうっかり落としちゃったんだって」 「ちょっとルル!」 恥ずかしい事をバラされてしまって顔を真っ赤にしながらララが怒るとはくちょうママはおかしくて笑ってしまいました。ララはますます恥ずかしくなりました。 「それならさっき空からキラキラした何かが丘の方に落ちてったの見たよ!ね、ママ!」 「そうね、坊や。…貴方達が探している物かはわからないけれど、もしかしたら貴方達が探しているステッキとやらがここから見える1番高い丘にあるあの大きな杉の木が生えてる場所に落ちて行ったのをさっき見たわ。凄く光っていたからとても目立っていたの。光り物が好きなカラス達がこぞってあの場所に羽ばたいて行ったから取られる前に早く拾いに行った方が良いと思うわ。さぁほら急いで」 3人は頷くと「急いで行こう!」と言ったムムの一言を合図に手を繋いで走り出しました。もちろん「ありがとう!はくちょうママにはくちょうママの息子さん!」とちゃんとお礼を伝えて。…     はぁはぁ息を切らしながら3人で険しい道を手を取り合って頑張って登って行くとはくちょうママが言っていたとおり、大きな大きな杉の木の下でいっそう光り輝いているステッキを囲んでカラス達が揉めあっているのが見えました。 「離せよ!それはオイラのだ!」 「いいや、それは僕のだ!」 「いやいや俺様のだよ!何故なら最初にそれを見つけたのはこの俺様だからだ!」 「ど、どうしよう…あれは僕のステッキなのに…」茂みに隠れて様子を見ていたララは ううっ と泣きそうになりました。 「あのカラス達、喧嘩強いからやたら近付いたり話しかけたりしちゃ駄目だって隣の家のレリーフ叔父さんが言ってた」 「大人の言う事ばっかりに頷いて、そんなんじゃ大人になれないよ」 ルルは眉を吊り上げてムムに言い返すと立ち上がってカラス達の群れの中に向かって堂堂と歩いて行ってしまいました。 「ちょっと、ルル!」とムムが止めようと声をかけましたがルルは聞いちゃいません。
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