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 今日の講師は、女生徒に人気の、そして美愛お気に入りの山内先生だ。 私の事を「大人っぽい」と言ったあの先生だ。 そしてもう一人の講師は、曽根先生だった。 曽根先生は、特にいつもと変わった様子もなく教室に入って来た。 『そうだよね。さっきの事は、先生にとっては何でもない事なんだ』 私はそう自分に言い聞かせながらも、かなり落胆している事に気づいた。  この予備校ではバレンタインの季節、女子生徒たちはそれぞれお気に入りの先生にバレンタインのチョコを渡す。 美愛はもちろん山内先生に渡していた。 私も曽根先生に渡したかったが、恥ずかしくて結局渡せなかった。 なぜかその時急にそんな事を思い出した。 そしてその日の授業が始まった。
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