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駅へ行くと、私はちょうどホームに滑り込んで来た電車に乗り込んだ。
画材が入ったバッグが大きいので、邪魔にならないように奥のドアまで進む。
足と座席の側面の間に、ケルトンの入った大きなバッグを立てかけるようにして置いた私は、そこでやっと一息ついた。
私、吉野 綾は、夏期講習の為に美大受験専門の予備校へ向かっていた。
高校生最後の夏期講習も、あと少しで終わる。
目的の駅に近づくにつれ、車内の人も増えて来た。
学生や移動中の会社員、そして主婦らしき人達の姿が目に入る。
その時私は異変を感じた。
押しつぶされないように、画材の入ったバッグを守るようにしてドア付近に立っていた私の太腿に、誰かの手が触れた。
「.......!」
その手はいやらしく私の太腿を這いまわる。
明らかに痴漢だ。
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