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二日後ーー。
「梓豪待て」
国に帰ろうとした梓豪さまを呼び止める瑰さま。
「我が心の友よ。どうした?火急の用か?」
「忘れ物だ。この不届き者を連れて帰れ」
「離しなさい。私を誰だと思っているの!」
兵に両手を押さえ込まれ引きずり出されたのは翠蘭さまだった。
「では聞く。腹の子は誰の子だ?結婚式の夜、眠り薬を酒に仕込ませいかにも褥を共に過ごしたと装うとしただろう。俺を簡単に騙せるとでも思ったのか?残念だったな。俺は女性が苦手だ。生理的に受け付けない。生憎明璉にしか興味がない。明璉の抱き枕でないと安眠出来ないたちでな」
「けがわらしい」
「そうか?むしろ一途な愛と言って欲しいな」
手首を縛られたまま馬車に押し込まれる翠蘭さま。
「女性が少ない辺境の地をあえて選び、明璉に逃げられないようにまずは外堀から徐々に埋めていき、二年かけて包囲網をしいた。
さすがは瑰だな」
「明璉に求婚しようとしたら、父に呼び戻され、したくもない結婚をさせられた。父を恨んだが、お陰で誰が明璉の母を貶めたか、黒幕が分かった。異界に行く手間が省けた。梓豪、感謝する」
笑顔で握手を交わす二人。
その後行方不明だった母の遺骨も無事に見付かり寺に安置することが出来た。
母は見てはいけないものを見てしまい、口封じのために無実の罪を着せられて殺された。
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