3.意匠

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3.意匠

「あの竜は、四獣王のどれかですか?」  隣のキーファがそれを見上げながら尋ねる。 「ええ、意匠の縁にある周囲の波は彼の吐き出す炎。炎獄王、アロガンスじゃないかと言われている」  大戦で獄炎を撒き散らし、世界全てを焼き尽くそうとした炎獄王は、東の主の四聖獣のうちの赤竜。聖獣であり天の使いなのに、なぜ全てを滅ぼそうとしたのかはわからない。  本当に、第一師団初代団長がアロガンスを倒したのかも、そうした理由も不明だ。 「剣で倒したのは意味があるのでしょうか?」 「倒した方法は伝わっていないけれど……魔法剣なのかしら?」  リディアと同じ疑問をキーファは持ったらしい。団長のディアンは「さあな」とどうでも良さそうに言っていたし、他の団員も興味なしだった。  キーファが同じ疑問を持ってくれたことが少し嬉しい。他の生徒達はあくびをしたりして無関心だ。紋章を見てもいない、それが通常の反応。
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