主人公は誰だ?

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 一樹の話はこうだった。  今から一週間前の出来事。    夕食を終え部屋で宿題をやろうとして、学校にプリントを忘れたことに気がついた。国語教師の佐川(さがわ)は宿題忘れにとても厳しい。プリントを一枚忘れたら、その罰としてプリント三枚が課せられる。それだけは、なんとしてでも避けたかった。  だから、一樹は学校へプリントを取りに行くことにした。  幸い校門はまだ開いていて、猛ダッシュで入口へと向かおうとした時、校庭にいくつもの人影が見えた。笑母学園の校庭には、周りをぐるりと取り囲むようにケヤキの木が植えられている。その中でも一際大きく太いケヤキは、聞いた話によれば樹齢百年を越える神木だそうで、その周りに複数の人影があった。  人影の正体は笑母学園の教師たちで、御神木を取り囲むようにして立っている。そして、木に向かってぺこぺこと頭をさげ、なにやら話していたようだった。
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